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部活動地域移行のメリットデメリット【令和8年度には土日の活動完全地域移行】

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現在の高校ではブラック部活動が問題になっています。

しかし、働き方改革として部活動の地域移行が進められています。

以前の記事では「ブラック部活動」についてご紹介しました。

今回は、教師の長時間労働の大きな原因の1つである部活動の地域移行についてご紹介します。

海仁

部活動地域移行って実際どうなんだろう?

実は私が顧問を務めるマイナースポーツの部活動がモデルケースとして取り組みが始まっているのです。

そこで見えてきたメリットデメリットを説明していきたいと思います。

目次

部活動地域移行とは?

部活動地域移行とは?

「部活動の地域移行」とは、これまで学校教員が担ってきた部活動の指導を、地域団体関係事業に担ってもらうことで地域の活動に位置づけることを目指した取り組みのことです。

2022年12月に、スポーツ庁と文化庁でガイドラインが策定されました。

2019年の中教審答申では、部活動の指導を

学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」に位置づけ

将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべき

だという考え方が示されています。

そこで、公立中学校の休日の部活動については、2023年度から2025年度までの3年間を改革推進期間として地域移行に段階的にとりくみ、可能な限り早期に実現することを目指すこととされています。

私学や高校については実情に応じてとりくむことになります。

地域移行には、次のような3つの運営方法があります。

  • 教育委員会が関係団体と連携して運営する
  • 市区町村が任意団体を設置・運営する
  • 総合型地域スポーツクラブ運営型や体育・スポーツ協会運営型、または民間スポーツ事業者に移行する

私が顧問する部活動のモデルケースでは3番目の

総合型地域スポーツクラブ運営型や体育・スポーツ協会運営型、または民間スポーツ事業者に移行する

として進められました。

部活動地域移行のメリットデメリット

部活動地域移行のメリットデメリット

総合型地域スポーツクラブ運営型や体育・スポーツ協会運営型、または民間スポーツ事業者に移行する

とは、部活動ではなく「地域のクラブ活動」として運営してくれるということです。

簡単に言うと、生徒が地域のクラブとして集まってそのスポーツを教えてもらっているという扱いになるのです。

そのため、そこに教師は必要なく責任が伴うこともありません。

実際に私が経験したメリットデメリットについて紹介します。

部活動地域移行のメリット

部活動地域移行のメリット
  1. 生徒の選択肢の幅が広がる
  2. より高度で専門的な指導を受けることができる
  3. 教師の長時間労働の改善が期待できる

それぞれについて説明します。

生徒の選択肢の幅が広がる

私の勤務校のケースですが、私が顧問を務める部活動は県に1校しかない部活動です。

そのため、その高校に入学しなければその部活動に入部することができません。

マイナーながらも中学校にもその部活動はあり、高校でも続けたいと思っているが自分の将来を考え、別の高校に進学する生徒もいました

地域のクラブ活動」は学校の部活動という扱いではないため、様々な高校から生徒を集めることができます。

海仁

でも、高体連が主催の公式大会には出場することはできないよね?

高体連主催の大会は学校単位で出場するので、このままでは出場することはできません。

しかし、県の代表として出場することができる国民体育大会(国体)であれば「地域クラブ」として出場することができます。

多くの大会に出場することはできませんが、年に1回の国体には出場できる可能性があります。

進学校にその部活動がないからと、そのスポーツから離れてしまう高校生の受け皿になってくれているため、生徒の選択肢の幅が広がっていると感じます。

より高度で専門的な指導を受けることができる

部活動の顧問がその競技の経験者で無いことはよくある話です。

未経験のスポーツは指導できません。

しかし「地域クラブ」ではそのスポーツの専門が指導してくれます。

また、全国大会に出場していたりとレベルの高い指導を受けることができます。

もっと上手くなりたいとおもう生徒からすると、これ以上ない環境であると言えます。

教師の長時間労働の改善が期待できる

「地域のクラブ活動」として活動するのであれば、教師が活動に付き添う必要はありません

今まで部活動に割いていた時間を別のことに使えるため、教師の長時間労働の改善が期待できます

部活動地域移行のデメリット

部活動地域移行のデメリット
  1. 専門的指導者の確保が難しい
  2. 専門的指導者による勝利至上主義
  3. 「地域クラブ」による学校施設の利用
  4. 専門的指導者と教師の軋轢

それぞれについて説明します。

専門的指導者の確保が難しい

専門的な指導者がすぐに来てくれるとは限りません

特にマイナースポーツであればあるほど、指導者の確保は難しいでしょう。

また、教師は部活動について無償で顧問を引き受けていますが、外部から人を招くのであれば無償というわけにはいきません。

海仁

教員は無償でいいけど、外部の人は有償か、、、
なんか納得いかない

しかし、県が用意できる報酬も少ないため、自分の時間を割いて高校生を指導してくれる指導者がなかなか集まらないのが現状のようです。

私が顧問を務める部活動においては運よく指導者が見つかったので、助かりました。

専門的指導者による勝利至上主義

外部から招く指導者は教育関係の人ではありません

勝つことだけを目指して、生徒に対して教育的な配慮ができる人は少ないでしょう。

上手な生徒にだけ声をかけ、そうでもない生徒はないがしろにされるなんてこともあります。

純粋にスポーツを楽しみたい生徒にとっては苦痛な時間になってしまうかもしれません。

「地域クラブ」による学校施設の利用

私の学校では「地域のクラブ活動」を学校内の施設で行っています。

生徒は部室を使うのですが、そこで何か問題があった場合は誰が責任をとるのでしょうか?

ずっと懸念していますが、問題が起こっていないため学校では今後の課題として放置されています。

また、地域のクラブ活動で起こった生徒同士の問題について保護者から学校にクレームを入れられたことがありました。

保護者の中には「学校の部活動」と「地域のクラブ活動」の区別が付いていない人が多いです。

「地域のクラブ活動」で起こった問題なんか知らん!

と言えない現状にも課題があると思います。

専門的指導者と教師の関係

私はこれが一番のデメリットだと思います。

専門的指導者は教育関係では無いため、基本的に教師と考え方が合いません。

そのため、指導方針の違いから教師との関係が悪くなることが多いです。

私の場合もそうでした。

  • 新入部員が少ないから何とかしろ
  • ○○がクラブを辞めそうだから保護者との面談をセッティングしろ
  • 平日の練習は○○を必ずやらせろ
  • クラブで練習試合をするからお金を集めろ
  • クラブへの参加率が悪いから何とかしろ

これらは実際に私が専門的指導者に言われたことです。

これでは、教師の長時間労働の改善につながらず本末転倒です。

部活動地域移行によって教師の働き方はどう変わる?

部活動地域移行によって教師の働き方はどう変わる?

上記で部活動の地域移行のメリットデメリットについて説明しました。

現在の私の働き方ですが、今まで土日練習だったのが、日曜日を「地域のクラブ活動」とすることになりました。

そのため、毎週日曜日は1日休めるようになりました

平日は専門的指導者は来ないため、平日の働き方は何も変わっていません。

しかし、1日完全にオフの日ができるだけでだいぶ心に余裕ができるようになりました。

部活動地域移行【令和8年度には土日の活動完全地域移行】

ちなみに茨城県では、令和8年度に高校の土日の活動は完全に地域移行されます。

2024年3月時点では「令和8年度より土日の部活動に教師は関わってはならない」とされています。

海仁

ここまで強く言ってもらえると少し安心だね!

ちなみに土日の活動に教員が関わりたい場合は「兼職兼業」を出せば参加できます(学校職員の兼業等及び教育公務員の教育に関する兼職等に関する事務取扱規程)。

つまり、土日の部活動は「副業」あつかいになるということです。

ちなみに中学校では令和7年度から始まります。

こうした動きが全国に広まってくれるとうれしいですね。

まとめ|部活動の地域移行はうまくいくのか?

結論として、部活動の地域移行はまだまだ課題が山積みです

そもそも、専門的指導者を確保できていない自治体が多いです。

近いうちは、部活動を完全に学校から切り離すことは無理そうです。

うまく部活動を学校から切り離せたとしても、専門的指導者にお金を払うのが嫌な保護者も一定数いるみたいです。

いつか、教師が本来の業務である「学習指導」に集中できるようになる日がくることを願うばかりです。

そうしなければ、本当に学校教育は崩壊していくでしょう。

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この記事を書いた人

教師辞めて大学職員への転職を目指しています!
大学職員への転職について分かったことを発信していきます‼️
29歳 関東 高校理科/妻の妊娠を機に教員を辞めることを決意。
再来年度の転職を目指して活動中!

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